シーズン1 Ep.40 安倉寮の4階で、君を待つ

ブログランキングに参加しています。よかったらポチっと押してあげてください。

安倉寮の4階。
窓から見えるのは、オートバックスの天井と、鉄塔と電線。
見上げれば、だいたいいつも飛行機が飛んでいる。

色どりを忘れた料理みたいな景色だ。
「おんなじ月を見ている」とか、若い頃なら言ってみたかったけれど、
天草の海に浮かぶ月とは、やっぱり違う。

違う世界の、違う空間。
それを否定も肯定もせず、46歳のおじさんは今日も働いている。

働いて働いて働いて働いて働いてまいりますと、
サンタクロースは言った――気がした。
12月だもの。
働いていれば、きっと、どこかで帳尻は合う。
たぶん。

色がなくても、味がなくても、
46さいのおじさんでも、
サンタクロースは分け隔てなく来てくれるはずだ。

安倉寮の4階。
窓をあけると、風が心を冷やす。
暖房は効いているのに、人生はなかなか温まらない。

夢に見たサンタクロースは、いつからか来なくなった。
それどころか、気づいてしまった。
サンタクロースは、自分だった。

包装紙を切り、テープを貼り、
「喜ぶかな」と考えながらプレゼントを包む。
サンタには髭がなかった。

それでも思う。
もしかしたら今年こそ、
34年ぶりくらいに、
私のところにもサンタクロースが来るかもしれない、と。

サンタクロースだけで食べていけるとも思えない。
たぶん普段はサラリーマンに扮して、会社に紛れている。

ビジュ的には松田さん。
資産的には増崎さん、桑田さん、山本ジョージさん。
あしながおじさん系なら森川さん、石井さん。
腹回り的には3754さん。

念のため石井さんの顔をじっと覗いてみたが、
思った以上にチャラかった。
サンタではなさそうだ。

念のため、欲しいものリストを書く。
会社の全おじさんに届くように、ユニポスにも投函しておく。

・VENTLAXのコット。素材は当然1000D。軋みの少なさが正義。

・スノーピークのフラットバーナー。IGT規格の元祖にして王。

・PASECOのCAMP-25。ビジュ、出力、変形。全部盛りなのに手に入りません。常に入荷待ち。

・ならばK3-GM1。カッコよすぎて新発売即品切れ。メルカリでプレ値ついてま~su.

・Cargoの焚火隊、FIRE PIT MAX。変形ギミックに弱い大人たちは多い。クリスマスの日に発売らしい。

・Marshallのポータブルスピーカー。理由?Marshallだからだ。

・ウエスト75cm。夢。
・小さな顔。美容鍼ではエラは削れない。
・おでこのシワ。努力はしているが、成果は蚊の鳴くほど。
・ていうか、20歳くらいに戻りたい。
・全部いらないから、妻と娘と過ごすクリスマス。

最後の方は完全に願望になってしまったが、
親切なサンタのおじさんなら、きっと分かってくれる。

また石井さんの顔を覗き込む。

「けんたろさ~ん、マルチグリドル、プレゼント待ってま~す」

いや、私はおじさんにプレゼントする趣味はない。
そんな金があったら娘のプレゼントを一つ増やす。

そもそも娘のように喜んでくれないですやん。

「いやいや、私めちゃくちゃ喜びますから」と石井さん。
その横で、

「なら俺に買ってくださいYO.もらってるでしょ~」と3754さん。
あなたはまず泥棒のような髭を剃ってから出直してください。

そもそも時代は完全成果主義。お給料に年季は関係ありまへん。

2人ほどサンタではないことが判明したが、
私のサンタ候補は、まだ会社のどこかに潜んでいる。

クリスマスは、
安倉寮の4階の窓をあけて、お待ちしております。

念のため山本ジョージさんに伝えたら、
「風邪ひくだけや」と言われました。

さすが出世頭。
夢より先に現実が来てはる。

それでも窓は閉めない。
どうせ来ないと分かっていても、
待つくらいの浪漫は、まだ失くしていないつもりだ。

安倉寮の4階。
今日も飛行機が飛んでいる。

かわいそうなオジサンサンタとお友達になれる公式ラインはこちら

友だち追加