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私はチョコが好きだし、嫌いだ。

そんな人は多いだろう。

幼少期のバレンタインデーは、まだ純粋な私の仲間たちの心を的確にえぐる行事だった。
1日中ドキドキさせられるだけで、収穫はない。

クラスの男女は同じ人数いるのに、なぜか私の手元には一つも来ない。

理由は簡単だ。
バレンタインは一部の男子による全回収システムを採用していた。

彼らは足が速く、頭が良く、だいたい平野歩夢みたいに顔も良い。
もって生まれた2.3項目のユニークスキルで、私たちの夢は粉砕される。

「後輩が家まで持ってきてさ」

聞きたくもない戦果報告。暗黒時代だった。

やがて大人になった。
あの頃のモテ男が、今もモテているとは限らない。私の観測範囲では、あのシステムでモテられていられるのは小学6年生がピークである。モテ期がずいぶん早めに来てしまっただけだ。

女子はやがて気づく。
足の速さでは住宅ローンは組めない。

優しさ、包容力、そして見た目だけでは語れない現実的な要素。
年齢を重ねると、評価項目はずいぶん変わる。

最近では義理チョコも減った。
チョコは友達に配るもの、自分に買うものになった。

コンプライアンスは、非モテにやさしい時代と直訳される。

2月14日。ファスティング中。
空腹でジムに行った帰り際、黒髪のきれいな女性スタッフに声をかけられた。

「よかったらどうぞ」

かごの中のチョコから青いやつを選ぶ。
外に出て、即、食べた。甘かった。

経費チョコだ。
ゴリラ店長主導の販促チョコだ。
それでも甘かった。

愛は量ではなく質である。そんなこと理屈では分かっているけれど、性別で味が変わる。男は単純だ。

愛妻家の滝下さんは、きっと今ごろ本命チョコをもらっているだろう。
愛は量ではなく、たしかに質なのだ。世の中のすべての関心毎が、奥さま一人に向かっている滝下さんこそ、シンの勝組だろう。

単身赴任の私の今年の収穫は、チロルチョコ一つ。

0ではない。アホみたいだけれど、男には重要なことだ。

ゴリラ店長、ありがとう。