
小説 マリーゴールド(継続中)
娘が生まれる前に綴った小説を、ブログを新設したこの機会にもう一度書き直してみることにしました。
気が向いたときに更新しますので、よかったら見にきてあげてください。
愛娘に贈る パパ
1.マリーゴールド
魔女マリー・ゴールドは、”はじまりの森”のすべてだった。はじまりの森のことで、魔女のマリーが知らないことは何もなかった。 どうして、いつも夜なのか。 どうして、いつも雨なのか。 いつからかはじまりの森に降りだした雨は止まなくなり、そしていつのころからか朝は訪れることを忘れてしまっていた。 森の動物たちはみなそれらの理由を知りたがっていたから、森の東の果てにあるマリーの館には客足の途絶えることがなかった。しかしそのこと、つまり森の秘密について、マリーが他言したことはなかった。
マリーは老いていた。
マリーは魔女であったから、主に黒い服を着ることを好んだ。必ずしも色のついた服を着ることが禁じられていたわけではなかったが、彼女は魔女であることを自覚していたし、何より精神的にも、彼女は夜と同じ色を好んだ。たとえば瞳の色まで...