シーズン2 Ep.01 銀河鉄道の夜  

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何も書けなくなった。

書けないというより、
思うことがない。

私にとって執筆は、
頭の中にあるイメージを書き出していく作業だ。
すでに完成しているものを、外に出すだけ。

だから書けなくなった。
頭の中が、空っぽなのだ。

空っぽの状態で何かを書き始めるのは難しい。
でも滝下さんは言った。

ゆっくりするなんて、甘いわね宮沢!

どうやら文豪に、冬は許されないらしい。
雨ニモ、風ニモ、自分ノヨワサニモ
負けてはいけないのだそうだ。

小説家はみな、苦しむ。
苦しんで、苦しんで、
それでも名作が生まれない日々もある。

落ちていくだけの日々も、きっとある。

そもそも私は陰キャだ。
それも、プロの陰キャ。

「陰キャには見えない」と言われるが、
それは私がプロだからだ。

プロは、本質を見せない。
人が見ている私は、だいたい偽物だ。

弱さも、汚れも、
わざわざ見せる必要はないと思っている。

正直に書いているようでいて、
それすら演出だ。

弱っている私、悲しんでいる私、
可哀そうな私。
私はそれを、創作できてしまう。

何が本当で、何が嘘か。
それは、私にしか分からない。

あまり変なことを書くと、
春ちゃんに「また詩人になったね」と言われてしまう。

でも、変なことを書いているつもりはない。
いたって冷静だ。

私は正直な人間だ。
まるっきり思ってもいない嘘は、書かない。

脚色も創作もするけれど、
それは嘘とは違う。

私は娘を愛しているし、
妻を愛している。

どちらの布団にもぐりこもうか、
本気で迷ってしまうくらいに。

単身赴任を悲しんでいると、
「そんなのケンタローくらいやで」と先輩は笑う。

世間の夫婦は、だいたい冷めているらしい。

娘はオタクになり、
反抗期になった。

育児は大変だと言われるけれど、
それすら愛しい時間だと思っている。

推しや友達を大切にする。
自立したくて、命令されるのは腹が立つ。
でも一人では何もできなくて、もどかしい。

手に取るように分かるから、
とても愛おしい。

親だって、元は子供だったのに、
いつの間にか親の目線だけで話してしまう。

漢字を覚えないと将来困るから、
漢字の練習を繰り返させる。

キッズ携帯からメッセージが届く。

冬休みの宿題が多いのに、
ママが漢字の練習をさせるから腹が立つ。

ママの気持ちも、娘の気持ちも分かる。
だから味方はしない。

代わりに、教える。

どれだけ愛しているか。
どれだけ大切に思っているか。

自分が子供だったころを思い出しながら。
私は娘よりずっと手がかかって、
まったく勉強をしなかった。

宿題を終わらせたい真面目な娘。
漢字ができなくて悩むママ。

でも、算数は得意だ。

事実だけを並べながら、
怒り狂う娘を抱え上げて外に出る。

赤ちゃんのころから、
散歩をすると気分が変わった。

女の子の反抗期は、口がすごい。
理屈は破綻しているけれど、
そんなことはお構いなしだ。

それで気づく。
ママと一緒だと。

甘えも、わがままも、
受け止めるのが私の役目。

反論してはいけない。
これは理論ではない。
感情、そのものだ。

言葉は手段でしかない。
万能じゃなくていい。

愛とか。
形のないものを、
無理に表現してみただけだ。

「生きるって大変だね」と妻が言う。
老後、私たちパン買えるのかな。

有馬記念は外れ、
年末ジャンボも外れた。

世の中はお金だ、
そんな思想に縛られる。

他力本願では生きていけない。
この細い腕で、
私は稼がなければならない。

妻と娘を、守らなければならない。

みんな、そうやって生きている。

娘はもう一緒に寝てくれない。
こっそりベッドの隅に入り、
気づいたら深夜二時。

「パパなの?もういい加減にして。ママのとこ行って」

叩き起こされて、
すごすごと移動する。

現実とか。
いろんな大変を抱えたまま、
時間は進んでいく。

娘は成長し、
私は老人になる。

空を見上げても、
銀河鉄道なんて、あるわけがない。

風が窓を叩く。
最強寒波が来るらしい。

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