シーズン1 Ep.36 なぜ男たちは、負けると分かっていても戦うのか

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46年も生きてきたので、世の中の“だいたいのこと”には、もう気づいてしまっている。

たとえば――「理想と現実は、ノットイコール」だとか、「運命は親ガチャ次第」だとか、「人はみんな平等」なんて、きれいごとだとか。

その極めつけが、これ。

天は人の上に人をつくり、その遥か上に大谷翔平をつくった。

佐々木朗希の復活劇に夢中になって、その事実を一瞬、忘れていた。どれだけ才能にあふれた男でも、人間はやっぱり人間。ロッキーのように、挫折を味わうものだと。

珍しく不振に陥った翔平大谷。打撃は、もうグチャグチャだった。棒球を振り、甘い球を見逃す。

「投手の時は打者として出すべきじゃない」
「こんなに打てないのに、なぜ申告敬遠?」

ネット民が叩きはじめ、不覚にも、私も同じように思ってしまった。せめて、投げる日は投げることに専念させてやってほしい。そう、願っていた。

けれど――結果は、地球上の誰もが知る通りだった。

宇宙まで飛んでいった1本を含む、3本のホームラン。しかも、二桁奪三振と“並行作業”しながらのことだった。つい前日までは、バットにボールを当てることすらできなかった男が、である。

世間が歓喜に沸く中、私は一人、激しく後悔していた。

なぜ、あの男に“同情”などしてしまったのか。彼はきっと、人間ではない。宇宙人か、あるいは神の試作品か。仮に人間だったとしても、我々のような普通の人類とは違う。思わず、悪い考えが頭によぎった。

もしかして。すべてを持っていくための“演技”だったのでは……?

「どうせ打てない」そう思って勝負を挑んだ投手たちの慢心が、それまで封じていた怪物を呼び覚ましてしまった。まるで神が、人間をあざわらうかのように。

神が82.5億の中から、最初に選んだ男。その選ばれし者に、凡人の私が同情するなんて、思い上がりにもほどがある。

地球中を熱狂させるあの男のことを、私は、孤独な安倉寮の六畳一間で考えていた。

平凡な凡人である、私の休日は静かに虚しい。

毎日ジムに通い、体を鍛え、湯の華廊でサウナに入り、汗を流す。

ふと気づけば、ジム通いはもう1年になっていた。

ジム通いが1年続く確率は、たった4%らしい。3か月後には37%まで減り、1年後にはその10分の1以下。この確率だけを見れば、私は“4%の男”だ。自己肯定するには絶好のデータだが、私は名家のように、そこまで単純じゃない。

「なぜ、自分はジムを続けられたのか?」何か、明確な動機があるはずだ。そう思ってしまう。

なぜ人はジムに通うのか。会社で一番若い子に聞いてみた。

「モテたいからっす」
それだけ?
「100%それだけっす」

……実に潔い回答だった。

おそらく、ChatGPTに聞くまでもなく、それが“正解”なのだろう。でも私は、納得できなかった。

モテたいだけで、1年間もジムに通って、サウナに行っていたなんて。そんなの、あまりに凡人すぎるじゃないか。私は違う。違うはずだ。違っていてほしい。だって、ジムに100年通えば翔平大谷になれるのか?100回生まれ変わっても、翔平大谷にはなれないのに?

そもそも、モテることに意味なんてあるのか?

結婚してしまった男が、今さらモテても意味がない。その先を、社会は許してくれない。モテたとしても、その“先の行動”は、社会的にアウトなのだ。

それに、そもそも結婚してる男はモテないらしい。どれだけ筋肉があっても、かっこよくても、ポテンシャルが高くても……最初から恋愛対象外。世の女性たちにとって、塵箱の塵以下の存在だ。

じゃあ、なぜジムに行く?

意味がないのに。わからなくなったので、結局、ChatGPTに聞いてみた。

「モテても意味がないのに、なぜ人はジムに通うんですか?」

すると、彼は、こう答えてくれた。

「モテることに意味がなくても、輝き続けることには意味があります。」

──そうだった。なぜ“モテ”だけを目的だと決めつけていたのだろう。

家族を守るため。
老いに逆らうため。
将来、娘の彼氏を追い払うため。

どれも、立派すぎるくらいの動機じゃないか。考えればすぐにわかることなのに、どうして。

また訳がわからなくなったので、ChatGPTに聞いてみた。

彼はすぐに教えてくれた。


「すべては、翔平大谷のせいですたい」

異次元の化け物相手に、私たちも火がついてしまう。たとえ勝てないと分かっていても、負けたくない。それが“男”というものだ。原始の時代から、きっとそうプログラムされている。

だから、金曜日の“スマ”たちよ。どうか安心してほしい。

世の中の旦那さんがジムに通うのは、決してあなた以外のスマたちにモテたいからではないのです。

Maybe…

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#いつもコラムを読んでくださってるマッスンさんが、進次郎構文ならぬ健太郎構文で作文されてました。言い回しが、まへんとか、かしら、とか。でも内容はタッキー構文よりでした笑
#SNSって自由なので使い方によっては薬にも毒にもなりますが、できれば薬でありたいなと思います。単身赴任してるので、私ほど誠実な男性であったとしても、スマが心配したりするのかしらと思うこともあります。世の中の単身赴任されてる旦那さんを持つスマたちへ、ちょっとでも安心させたくて今回のコラムを書きました。
#うちの旦那、なんでジムに通ってるんやろ。そう思ってるスマのみなまに、安心を届けることができたなら、私は幸せです。
#大丈夫、大丈夫
#Maybe…