シーズン1 Ep.24 ポチるか離婚か、悪夢のプライムデー

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一年に一度、真面目に生きている私たちを試す“悪魔”がやってくる。ポチるか、離婚か。そんな人生の2択を我々オジに迫ってくる悪夢のプロジェクト、その名も――「プライムデー」。大人たちは、マイナス%テージになったギアたちに一喜一憂する。恥ずかしながら、私もその一人だ。

欲しくても買えない心に貯め込んだギアたち。その数、なんと100個。……笑

私の場合は釣りとキャンプを同じくらい愛しているのでさらに厄介だ。欲しいリールを買うか、はたまたテントを買うのか、決断を迫られるが、そもそもたった一つですら、自由にポチることはできない。

ユー勝手に買っちゃえよと悪魔は囁くが、天使が教えてくれる。

「ポチったら離婚確定よ」。

一年に何度も見た、テントがある。「半歩先を行く」をコンセプトにかかげるゼインアーツの代表小杉氏が、「キャンプスタイルのスタンダード」を目指し立ち上げたもう一つのブランド、「サバティカル(SABBATICAL)」のテント、

「スカイパイロット」。

名前の通り、空を飛ぶ巨大な帆船のような形状で、数々のメーカーが新作を出しまくるキャンプシーンの中でも、燦然たる光を浴び続ける不朽の名作だ。魅力は、その広さ。ワンポールながら羽を広げた形のおかげで、室内がお城のように広い。

流行りのTC(ポリエステル+コット)素材は高いので、ポリエステル素材のみに変更されたシンセティックというタイプを狙っていたのだが、この度のプライムデーにて、ー10%で先行セールが始まった。

長男とか、長女とか、最初に生まれてしまった方には共感して頂けると思うが、我々は生き方がとにかく下手だ。損な役回りを率先して引き受けてみたり、手柄を人に譲ったりしてしまうので、要領良く生きることができない。

その所為か、結婚生活でもお尻に敷かれがちで、気付けば何の権力もなくなってしまった。

宵越しの金どころか、お小遣い以上に、自由に使えるお金は持たない。なにせ銀行の残額すら知らないのだ。笑。我がままを言うとすぐ離婚届を持って来るので、やがて絶対服従するようになってしまった。笑

ただ、私も何も成長しなかったわけではない。仕事でも予算を頂くときに、なぜその部品が必要か、数字を用いながら説明する必要があるが、プライベートも同じ。

妻に男のロマンは通じないので、お金の話にしぼられるが、LINEで丁寧に説明してみた。

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拝啓、妻へ

「ずっと欲しかったテントがあるんだけど、この度、プライムデーにて48015円になりました。廃版だからこれ逃したら12万なんだけど、ユニポスの連載でためたAMAZONギフトが3662円。クレカのカードのポイントが19203円あるから、手出しは25150円なんだけど、たまに休日出勤したりしてたりもしてるから(ほぼしてないけど笑)、その頑張り分で買っていい?」

from 夫

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既読にはなったが、数時間経っても返事はない。やはりダメか__。

諦め半分で、キャンプのパイセン、やまさんに愚痴ってみた。先輩はすぐに解答をくれた。というか、添削してくれた。

「ちゃんといい子にするので」の一言は、絶対に入れなきゃダメらしい。

ユニポスで“文豪”なんて呼ばれながら、生き方のテクは何ひとつ分かっていない私。自分の性格ではぜったいに出てこない一文だが、やまさんが言うならとダメもとで添えてみた。

「ちゃんといい子にするので」

書いてめっちゃ恥ずかしくなったが、パイセンはこうも言っていた。「買ってしまえば勝ちや。旅の恥はかき捨ててって言うやろ」。しかしパイセンの力を借りても、きっとダメだろう。妻は財務省の長官のように厳しい。長官知らんけど。

妻は旅行をたくさんするので、そっちのほうがお金をたくさん使うのだが、長年の夫婦生活で、絶対的な権力差ができてしまった。私に残された権力なんて、検査エリアの鈴木敏正さん(ス―さん)が3Fの光学顕微鏡でのぞいてやっと見つけられるレベルだ。

どうせダメだろう。最終的には、ポイントだけでも使わせてもらえれば良いか。残りの金額は、お小遣いを月に少しずつ引いてもらって買おう。入手さえできれば良いのだから(テントはいずれバレるので正式ルートで買わないとヤバい)。いろいろ自問自答しながら過ごしていたら、お返事がきた。

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「おう」

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これは、Oh、なのか、それとも、OKのOなのか、一瞬戸惑ったが、日本語ではOhと言う感嘆文は使わないので、後者だろう。き、奇跡っ。いや、おそらくパイセンのアドバイスがなかったら、このミラクルは起きなかっただろう。まさに、メイクミラクル。奇跡を引き寄せる、まほうのことば。

「ちゃんといい子にするので」

まじか、交渉ってやっぱ要領なんや。よくよく考えたら、私みたいな哀れな五十路手前のジジイが潤んだ瞳で、「ちゃんといい子にするので」なんて言い出したら、真っ当な女子なら萌えキュンに決まってますですたい。母性本能くすぐられまくりのキュン確に決まってますですますますたい~。

善は急げと、3秒ルールですぐにポチった。貯めこんだdポイントは1秒で0ポイントになって、2秒後に悪魔の契約は成立した。最貧民の私が、まさかの、スカイパイロットを入手した瞬間だった。

このテントは大幕なので、寝る場合は中にインナーテントを別途、装着する必要があるが、そんなことは後からどうでもなるだろう。

テント、という一番大きな目標を達成したのだ。その他の細かな目標はどうにでもなる。

キャンプのパイセン、やまさん。実はお会いしたこともないキャンプのオプチャのおじさんなのだが、私はやまさんに、一生ついて行くことを誓ったのだった。

ちなみにうちは本当に厳しくて、離婚届も書いたことがあります。数々の修羅場も経験しましたが、結婚するって本当に大変。笑。ある日は大喧嘩からこちらも意地になって妻が持ってきた離婚届を書きましたが、書いている途中、娘は大泣き。

書き終えた瞬間、娘は涙をぬぐい、「ママ、新しいパパどんな人かなぁ。赤ちゃん作ろっか。あたし、赤ちゃん好きだし」と一言。

その瞬間、私は書きたてホヤホヤの離婚届を破り捨てました。

小さくても女子。ロマン派の男子とは違って、しっかり現実主義なのです。娘は当然のようにママ一択なのに気づいたのと、ママが普通に親権を持っていくつもりなことに気づいたことが収穫でした(何のやねん…)。

娘を失いたくない一心でプライドをかなぐり捨てて敗北を認めた私ですが、そんな日々を積み重ねた結果、私は何ひとつ権力らしいものが残っておりまへんでした。結婚の苦労を語ると、若者たちは墓場っすね、と言いますが、否定はしません。笑。結婚をおすすめしたこともありまへん。笑

独身主義も増えたし、今は結婚しなくても楽しいことがたくさんあります。でも、家族ってやっぱり良いんよね。コタツで足をくっつけて3人でテレビを見たり、キャンプだって一人で行くより家族で行くほうがずっと楽しいし、ご飯だって3人で食べたほうがずっと美味しい。会話や、何気のないふれあい、ぬくもり。安倉寮の生活とは違って、ちゃんと時間が動いている毎日。

私くらい誠実なSパパ(Mパパ?)でも大変なのが結婚生活ですが、そもそも妻に成長させてもらわなかったらSパパとどころか散財して廃人になってたかもしれまへん。節約してても足りないのがお金ですからね。

婚姻制度ですっかり器が小さくなった私ですが、幸せって結局のところお金を自由に使いまくることではないし、欲しいものがすぐには買えなくても、十分に心は満たされています。ただ、やっぱり物欲はなくならないので、欲しいものが買えたときは嬉しいものですね。

今は、久住高原のボイボイキャンプ場でスカイパイロットを広げて、夜はトランクカーゴに乗せたブリエスタの灯りに囲まれながら、家族3人でローバーチェアに腰かけて、トランプに興じる、

そんなひとときを楽しみに、残された単身赴任時間をJALの誘惑にも負けず、紳士に生き抜きたい所存です。

ユニポスの中のみなさまと、
ポチらせてくれた妻へ

「愛」をこめて

#女性とキャンプ用品は丁寧に扱うのが基本です。by_やまさん

#若いころは本当に喧嘩をたくさんしましたが、敗北を受け入れてからは安定してます笑